お金がないアピールをする人の心理を徹底解説します。
男性でも女性でも、なぜうざいくらいに「お金がない」をアピールするのか。
身近にそういう人がいて困っている場合は参考にしてみてください。
その口癖は「事実」か「戦略」か

友人との食事の計画や恋人とのデートの約束。少しお金のかかる話題になった途端、「ごめん、今本当にお金なくて…」を口癖のように繰り返す人が周りにいないでしょうか。
その言葉を聞いたとき、私たちは相手を気遣うべきか、それとも、その言葉を疑うべきか、複雑な気持ちになります。
言葉通りに受け取るべきなのは分かっているが、その一方で、その人物が自分の趣味や好きなものには、平気でお金を使っている姿を目にすると、「本当なのだろうか?」とモヤモヤした思いが心をよぎるのも、また事実です。
彼ら、彼女らが発する「お金がない」のアピールは、果たして困窮した現状を正直に伝える「事実」なのか。それとも、支払いを免れたり、相手の同情を引いたりといった、何らかの目的を達成するために意図的に用いられる「戦略」なのか。
多くの人々を悩ませる、この「お金がないアピール」について、その行動の裏に隠された複雑な心理を、男女別の特徴も交えながら徹底的に解き明かしていきましょう。
見極めが重要!「本当に困窮している人」と「戦略的アピールをする人」

「お金がない」という言葉を、すべて同じものとして捉えることは、場合によって大きな誤解や不必要な人間関係の軋轢を生みます。
その心理を分析する前に、まずは、その言葉が偽りのない「事実」なのか、それとも何らかの意図を持った「戦略」なのかを冷静に見極める必要があります。
本当に困窮している場合:言葉だけでなく実際の行動や生活に余裕のなさが表れる
本当に経済的に困窮している人は、その言葉だけでなく、生活のあらゆる側面に、余裕のなさが一貫して表れています。
例えば、着ている服や持ち物は、明らかに長く使われているものであり、外食やコンビニの利用は極力避け、自炊を基本としています。人からの誘いに対しても、申し訳なさそうに参加そのものを辞退することが多くなります。
そして、お金の話になると、その表情には隠しきれない切実な悩みが浮かびます。このような場合、その言葉は助けを求める真摯な心の叫びである可能性が高いでしょう。
戦略的にアピールする場合:言葉とは裏腹に自分の趣味や好きなことにはお金を使う
一方で、戦略的に「お金がない」とアピールする人は、その言葉と行動の間に、明らかな矛盾が見られます。
「お金がない」と言いながら、最新のスマートフォンを持っていたり、好きなアイドルのグッズやゲームへの課金、ブランド品など、自身の趣味やこだわりを持つ分野には、惜しみなくお金を投じます。
また、大勢での飲み会など、自分が負担する可能性のある会合は断る一方で、特定の相手との食事や自分の好きな活動には平気で参加し、その様子をSNSに投稿したりもします。
その口ぶりには悲壮感がなく、どこか「いつもの口癖」といった、軽さが感じられるのが特徴です。
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「お金がない」とアピールする人の6つの深層心理

戦略的に「お金がない」とアピールする人々は、その言葉を様々な社会的状況を有利に乗り切るための、多目的なツールとして利用しています。
その背景には、単なる「ケチ」では片付けられない多様な深層心理が隠されています。
【防御】支払いから逃れるための「防御シールド」
もっとも分かりやすく多用されるのが、この防御的な心理です。飲み会の会計時や友人との旅行の計画など、お金の支払いが発生する場面で、先手を打って「お金がない」と宣言します。
これにより、「自分は、支払う意思はあるが、能力がない」という状況を作り出し、他者からの支払いの要求や多めに負担させられることから、巧みに身を守る「防御シールド」として、この言葉を活用しているのです。
【期待】相手に奢ってもらうことを狙った「甘え・依存」
これは、防御から一歩進んだ、攻撃的な心理ともいえます。自身の金銭的な余裕のなさをアピールすることで、相手の同情心や、「年長者だから」「収入が多いのだから」といった、社会的役割意識に働きかけ、奢ってもらうことを暗に期待しているのです。
特に、経済的に余裕のある相手や気前の良い友人に対して、このアピールは、自身の負担をゼロにするための、甘えや依存心に基づいた効果的な戦略となり得ます。
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【口実】飲み会や遊びの誘いを断るための「便利な口実」
本心では、その集まりに「行きたくない」、あるいは、「気が乗らない」と感じている。しかし、正直にそう伝えて人間関係に角を立てることは避けたい。
そんなとき、「お金がない」という理由は、相手に不快感を与えにくく、かつ、それ以上は追及されにくい非常に「便利な言い訳」として機能します。
経済的な理由は誰もが抱えうる問題であるため、相手もそれ以上は強く誘いづらくなるのです。
【予防】他人からお金をせがまれないための「予防線」
これは、実際には、ある程度の経済的な余裕がある人が用いることのある心理です。
自分が裕福であると周囲に知られると、お金を貸してほしいと頼まれたり、奢ることを期待されたりする、といった面倒な事態に巻き込まれる可能性があります。
それを避けるために、日頃から「自分も生活は楽ではない」というイメージを周囲に振りまき、金銭的な要求をされないための「予防線」を張っているのです。
【演出】「お金に執着しない自分」を演出する自己ブランディング
一部のコミュニティでは、「お金儲けに必死な人=品がない」といった価値観が存在します。
そうした環境の中で、「お金がない」「物欲がない」とアピールすることは、「私は、お金のような、俗なものには執着しない精神性の高い人間です」という、自己ブランディングの一環となります。
洗練された、あるいは、達観した自分を演出するための高度なコミュニケーション戦略といえるでしょう。
【承認】同情を引いて注目されたい「かまってちゃん」心理
「お金がなくて、こんなに大変なんだ」と、自身の苦境(たとえ、それが誇張されたものであっても)を語ることで、周囲の同情や心配を引き、会話の中心になりたい承認欲求の表れです。
他人が「大丈夫?」「何かあったの?」と、自分に関心を向けてくれる状況に、満足感を覚える、いわゆる「かまってちゃん」的な心理が、このアピールの原動力となっているケースもあります。
【男女別】「お金がないアピール」に隠された性別特有の心理と共通点

「お金がない」とアピールする根底にある心理は、男女で共通するものも多いですが、社会的に期待される役割や恋愛における立場の違いから、その動機には性別による特有の傾向が見られることがあります。
【男性心理】プライドを保ちつつデート代や交際費を節約したい
男性の場合、特に恋愛関係において、「デート代は男性が多めに払うべき」という、社会的なプレッシャーを感じていることがあります。
しかし、本音では出費を抑えたい、あるいは、対等な関係でいたいと考えているため、「お金がない」とアピールすることは、「払う意思はあるが物理的に不可能だ」という状況を作り出し、自身のプライドを保ちながら、支払いを回避するための有効な口実となります。
また、関係が安定してきた相手に対しては、「君の前では見栄を張る必要がない」という、親密さの表現として無意識に使われることもあります。
【女性心理】相手の金銭感覚や愛情を試したい意識
女性の場合、交際相手の男性に対して、このアピールを一種の「リトマス試験紙」として使うことがあります。
自分が「お金がない」と言ったときに、相手が「じゃあ、安いお店にしよう」と提案してくれるか、それとも「大丈夫だよ、俺が払うよ」と言ってくれるか。
その反応によって、相手の金銭感覚や自分への愛情の深さ、そして、いざというときに頼りになる人物か見極めようとしているのです。
また、逆に「私は、お金目当ての女ではない」ということを、暗に伝えるための自己防衛的なアピールとして機能することもあります。
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【男女共通】面倒な付き合いを避けて趣味など別のことに使いたい
男女に共通する本質的な心理は、この「価値観の表明」です。その人たちにとって、興味のない飲み会や気乗りしない付き合いに費やすお金は「ない」のです。
そのお金は、自分自身の趣味や自己投資、あるいは、本当に大切な人との時間など、自分が、より高い価値を感じる、別の目的のためにすでに割り当てられています。
つまり、「お金がない」という言葉は、多くの場合、「(あなたが誘う、その用途に使う)お金は、私の価値観の中には存在しない」という、意思表示の婉曲的な表現なのです。
お金がないアピールへの上手な対処法4選

「お金がないアピール」の裏にある心理を理解すれば、その言葉にいちいち心を揺さぶられたり、不快な思いをしたりする必要はなくなります。
相手との関係性や状況に応じて、賢く、そして自分の心を守りながら対応するための、具体的な4つの対処法をご紹介します。
「そっか、大変だね」と一旦は受け流して深入りしない
もっとも基本的で労力を使わない対処法が、この「受け流し」です。
相手の「お金がない」に対して、「そうなんだ、大変だね」と、共感を示す(フリをする)に留め、それ以上、その話題を深掘りしたり、問い詰めたりはしません。そして、すぐにまったく別の話題に切り替えます。
これは、特に職場や、それほど親しくない知人など、波風を立てたくない相手に対して有効な大人の対応です。
「じゃあ、お金のかからない◯◯はどう?」と代案を提案する
もし、相手との関係は続けたいが、金銭的な負担は避けたい場合には、この「代案提案」が効果的です。
「お金がないから今日の飲み会は無理かな」と言われたら、「そっか、じゃあ飲み会はやめて、今度公園でコーヒーでも飲みながら話さない?」など、お金のかからないプランを提案してみましょう。
相手が本当にあなたと会いたいのであれば、その提案に乗ってくるはずです。
もし、それも断られるようであれば、その「お金がない」は、あなたとの時間そのものを避けるための口実であった可能性が高いと判断できます。
奢りを期待されたら「ごめん、自分も余裕なくて」と同じ手で返す
相手の「お金がないアピール」の裏に、「奢ってほしい」という期待が透けて見えた時には、この「ミラー返し」が有効です。
「お金がないんだ」と、こちらを窺うように言われたら、「わかる、実は自分も今月結構厳しくて…」と、まったく同じ論法で返します。
これにより、相手の「あなたに奢ってもらう」という期待は即座に無効化されます。相手を非難することなく、しかし、きっぱりと「あなたのお財布にはなれません」の意思を伝えることができる高度なコミュニケーション術です。
関係を続けたい相手なら「毎回、完全に割り勘にしよう」とルールを明確にする
恋人や親しい友人など、今後も良好な関係を長く続けていきたい相手が、このアピールを繰り返す場合には、一度きちんと向き合って、今後の「ルール」を決めてしまうのが最善の策です。
「これからも、お互いに気兼ねなく対等に付き合っていきたいから、今後の食事代とかは全部1円単位で完全に割り勘にしない?」と、ポジティブな形で提案します。
これにより、お金に関する面倒な駆け引きや心理的な探り合いは、一切不要となり、二人の関係は、より健全でクリアなものになります。
「お金がない」の言葉が映し出すのは財布の中身ではなくその人の「心の中身」

これまで解説してきたように、戦略的に用いられる「お金がない」は、その人の実際の財政状況を、必ずしも正確に表しているわけではありません。
多くの場合、その言葉は「財布の中身」よりも、その人の「心の中身」を、より雄弁に映し出す鏡のような役割を果たしています。
その一言の裏には、他人との関わりにおける、その人の臆病さや依存心、あるいは、計算高さが隠されています。
自分が何を大切にし、何を軽んじているのか、という価値観の序列が、無意識のうちに表明されているのです。
そして、人間関係を対等なパートナーシップとして捉えているのか、それとも、自分が得をするための駆け引きの場として捉えているのか、といった根本的な姿勢までが透けて見えてくるでしょう。
「お金がない」の口癖に、振り回されたり、不快になったりするのではなく、「ああ、今この人は自分の心の中にある、こういう感情を表明しているのだな」と、一歩引いて冷静に分析する。その視点を持つことこそが、無用なストレスからあなた自身を守り、より賢く、そして、より健全な人間関係を築いていくための確かな一歩となるでしょう。