まったく働かない専業主婦(主夫)の特徴をご紹介します。
生活に余裕があれば、わざわざ働く必要はありませんが、そうではなく、家計が苦しくてもパートやアルバイトに一切行かない主婦は珍しくありません。
実際にそのような状況で悩んでいる人は参考にしてみてください。
「働きたくない」は怠慢なのか心のSOSなのか

毎日一生懸命働いていても、家計は日に日に厳しくなっていく。あと少し、月に数万円でも収入が増えれば、家族の生活はずっと楽になるはずだ。そう考え、相手に「パートに出てくれない?」と切り出してみる。
しかし、返ってくるのは、「働きたくない」という素っ気ない、あるいは頑なな拒絶の言葉。
その態度を目の当たりにしたとき、「なぜ協力してくれないんだ」「怠慢なのではないか」と、怒りや、やり場のない虚しさを覚えてしまうのは無理もありません。
しかし、一度立ち止まって考えてみましょう。その頑なな拒絶は、本当に単なるわがままや怠慢なのか。もしかしたら、その言葉の裏には、相手もうまく言語化できずにいる複雑な不安や恐怖、そして、助けを求める「心のSOS」が隠されているのかもしれません。
相手が「働きたくない」と口にする、その背景にある深層心理を、様々な角度から丁寧に解き明かしていきましょう。
それは「働きたくない」のか「働けない」のか

パートナーの「働きたくない」という言葉の裏にある心理を探る前に、まず冷静に確認しなければならないことがあります。
それは、相手の置かれている状況が、本人の意思とは関係なく、物理的・環境的に「働けない」状態ではないか、という点です。
働けない正当な理由:未就園児の問題や自身の健康、家族の介護など
感情的な対立を避けるためにも、以下の様な、客観的に見て「働くことが困難」な状況が存在しないかを、まず確認しましょう。
- 未就園児がおり、近隣に預けられる保育園がない、あるいは、待機児童で入園できない。
- 子供が病弱であったり、発達上の課題を抱えていたりして、常時、親族のケアを必要としている。
- 心身の健康状態が万全ではなく、働くことで悪化する可能性がある(うつ病や持病など)。
- 自身の親、あるいは相手の親の介護に、日中の多くの時間を費やさざるを得ない。
もし、これらの理由に当てはまるのであれば、問題は相手の「意思」ではなく、「環境」や「健康」にあります。
その場合、夫婦で協力し、まずはその障壁を取り除く努力(保活、病気の治療、介護サービスの利用など)をすることが先決問題となります。
働ける状況なのに「働きたくない」場合は裏に複雑な心理が隠れている
一方で、上記のような明確な制約がなく、子供は学校に通っており、心身の健康にも大きな問題はない。それにもかかわらず、頑なに働くことを拒否する場合。そのとき初めて、その「働きたくない」という言葉の裏に隠された、複雑な心理と向き合うカップル必要が出てきます。
このケースについて深く掘り下げていきましょう。
「パートに行きたくない」5つの深層心理!なぜ一歩を踏み出せないのか

働ける状況にあるにも関わらず、頑なに働くことを拒むとき、その心の奥底には、想像する以上に複雑で根深い、様々な感情が渦巻いています。
その一歩を踏み出せない、代表的な5つの深層心理を解説しましょう。
長いブランクが生んだ「社会復帰への恐怖」
出産や育児などで、一度社会から離れた期間が長ければ長いほど、「今さら自分に仕事なんてできるのだろうか」「若い人たちの中でうまくやっていけるだろうか」という、社会復帰そのものへの強い恐怖心が生まれます。
パソコンの操作やお客さんとの会話など、かつては当たり前にできていたことさえ、まったく自信が持てなくなっています。
その恐怖心は、「働きたくない」という、頑なな拒絶の言葉となって現れるのです。
「家事も育児も完璧でないと」という完璧主義の呪縛
「専業主婦(主夫)であるからには、家事も育児も完璧にこなさなければならない」という、強い完璧主義に囚われているケースです。
パートに出るということは、掃除が行き届かなくなったり、手の込んだ料理が作れなくなったりと、自身の「完璧な主婦(主夫)」としての役割を、自ら放棄する行為に感じられます。
「中途半端になるくらいなら、やらない方がまし」という、オール・オア・ナッシングの思考が、働く選択肢そのものを消し去ってしまいます。
「専業主婦(主夫)である自分」というアイデンティティ喪失への恐れ
長年、「専業主婦(主夫)」として生活してきたことで、それがアイデンティティそのものになっている場合があります。
ママ友との付き合いや日々の生活リズム、そして、自分自身の価値さえも、そのアイデンティティの上に成り立っています。
働くということは、この慣れ親しんだ「専業主婦(主夫)」の肩書きを失うことを意味します。
それは、「自分はいったい何者なのだろうか」という、アイデンティティの喪失ともいえる耐え難い恐怖に繋がっているのです。
「時給1,000円のために頭を下げたくない」過去のキャリアとのギャップ
結婚前に、正社員としてバリバリ働いていた、あるいは、専門職に就いていた場合に、この心理が働きやすくなります。
過去の給与や待遇、仕事内容を基準に考えてしまうため、近所のスーパーのレジ打ちや工場の軽作業といった、いわゆる「パートの仕事」をプライドが許さず、見下してしまうのです。
「自分がやるような仕事ではない」「時給1,000円のために人に頭を下げたくない」という、過去の栄光とのギャップが働くことへの大きな障壁となります。
相手の稼ぎで生活するのが「パートナーの権利」という思い込み
本人の育った家庭環境や周囲の友人関係などから、「家計を支えるのは相手の役目であり、自分は相手の稼ぎで生活するのが当然の権利だ」という、無意識の思い込みを持っているケースです。
この場合、家計が苦しいのは、あくまで「相手の稼ぎが少ないせい」であり、自分が働くという発想には至りません。
そのため、働くことを促されると、自分の「権利」を侵害され、「義務」を果たしていないと責められているように感じ、強い反発心を抱くのです。
「絶対に働かない専業主婦(主夫)」に共通して見られる3つの特徴

「働きたくない」という深層心理は、多くの場合、日々の何気ない言動や、お金に対する姿勢の中に、いくつかの共通した特徴として現れます。
その代表的な3つの特徴について解説していきましょう。
世間話では「忙しい」が口癖だが具体的な活動はない
友人や近所の人との会話の中で、「毎日、何だかんだ忙しくて」と、自身の多忙さをアピールすることが口癖になっているのが特徴です。
しかし、その「忙しさ」の内訳を尋ねると、特に熱中している趣味や地域でのボランティア活動、あるいは資格取得のための勉強など、具体的な活動内容はなく、曖昧な返事に終始します。
これは、働くことから逃避している自分を正当化し、「自分は決して怠けているわけではない」と、周囲や自分自身に言い聞かせるための無意識の防衛行動である可能性があります。
自分の美容や趣味にはお金をかけるが家計の節約には無頓着
家計が苦しいという認識はあるものの、ネイルサロンやエステ、友人とのランチといった、自身の楽しみや美容のためのお金は聖域として確保し、そこを削ろうとはしません。
一方で、日々の食費を切り詰めたり、光熱費をこまめに節約したりといった、家計全体の改善に繋がる行動には、あまり関心を示さない傾向があります。
家計の苦しさを、どこか「他人事」のように捉え、その責任が自分にもあるという当事者意識が希薄になっている状態です。
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「誰かのおかげで生活できている」という感謝の気持ちが薄い
パートナーが日々、外で働き収入を得ることで、現在の自分の生活が成り立っている事実への感謝や尊敬の念が言動から感じられません。
給料が振り込まれることを当然のことと捉え、「ありがとう」という言葉が出るどころか、「もっと給料が多ければ、こんなに苦労しないのに」といった、相手の稼ぎに対する不満を口にすることさえあります。
パートナーとして、共に家計を支え合う「共同経営者」である意識が失われているのです。
相手を追い詰めず現実を理解してもらうための対話法

相手の「働きたくない」という言葉の裏にある、複雑な心理を理解した上で、どのように対話を切り出せばよいのか。
感情的にこちらの要求をぶつけるだけでは、相手は心を閉ざし、事態は悪化の一途をたどります。
重要なのは、プライドや恐怖心に配慮しながら、二人で同じ問題に立ち向かう「チーム」としての関係を再構築することです。
「なんで働かないんだ!」と感情的に責めて問い詰める
「家計がこんなに大変なのに、なぜ協力しないんだ!」「少しは働けよ!」といった、ストレートな非難の言葉は絶対に避けなければなりません。
このような言葉は、「あなたは主婦(主夫)として失格だ」という烙印を押す行為に等しく、相手の恐怖心やコンプレックスをさらに刺激するだけです。
話し合いの場は、一瞬にしてお互いを傷つけ合うだけの不毛な戦場と化してしまいます。
まずは日頃の家事育児への「感謝」を言葉で伝える
対話の第一歩は、非難ではなく「感謝」から入ります。「いつも家をきれいにしてくれて本当にありがとう」「子供のことを見てくれているから自分も安心して仕事ができるよ」といったように、まずは日々家庭のために行っている労働への、敬意と感謝を具体的な言葉にして伝えましょう。
これにより、「自分は攻撃されているわけではない」「自分の貢献を認めてくれている」と感じ、話し合いに対して前向きな姿勢を取りやすくなります。
「自分一人の力では限界だ」と自分の弱さや苦しさを共有する
感謝を伝えた上で、自分自身の正直な気持ちを打ち明けます。「お前も働け」という命令ではなく、「自分も一緒に頑張りたいが、もう限界なんだ」という弱さの共有です。
「情けない話なんだけど、正直今の給料だけでこの先家族を守っていけるか不安で夜も眠れないことがあるんだ」というように、自身の苦しさやプレッシャーを勇気を出して共有しましょう。
これにより、相手は問題を「一方的な要求」ではなく、「夫婦二人の共通の課題」として捉えやすくなります。
「月3万円でも助かる」という低いハードルを設定して選択肢を与える
社会復帰への恐怖心を抱える相手に対して、「正社員で働け」といった、高い要求をするのは禁物です。
「もし、月に3万円だけでも家計の足しになったらものすごく助かるんだけど、どうかな?」「週に2〜3日、数時間だけの仕事でも本当にありがたい」といったように、相手が「それくらいならできるかもしれない」と感じられるような、心理的・物理的に低いハードルを提示します。
これにより、働くことへの抵抗感を和らげ、具体的な一歩を現実的に考え始めることができるようになるでしょう。
それでも話し合いにならない場合に夫婦が取るべき行動

あらゆる配慮を尽くして対話を試みても、依然として聞く耳を持たず、話し合いそのものを拒絶し続ける。あるいは、一度は働くことを検討すると言ったものの、一向に行動に移す気配がない。
そのように、状況が完全に膠着してしまった場合は、もはや夫婦二人だけの努力では解決が難しい段階にあると認識すべきです。
第三者を交えた家族会議を提案する
当事者同士では、どうしても感情的な対立に陥ってしまう問題も、公平で専門的な知識を持つ第三者が間に入ることで、客観的に捉え直すことができます。
例えば、お金の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)に、現在の家計状況と、将来のライフプランを診断してもらうのも一つの方法です。
専門家から、「このままでは、お子さんの大学進学は厳しいです」といった、具体的な数字に基づいた客観的な事実を示されることで、パートナーも、ようやく事の深刻さを実感できるでしょう。
あるいは、問題の根が夫婦関係のすれ違いにあると感じるなら、夫婦カウンセリングを利用し、専門家の助けを借りて、お互いの本音を安全な場で話し合うことも有効です。
家族の未来のためにライフプランそのものを見直す
働くという選択肢が、どうしても実現不可能なのであれば、残された道は一つです。それは、「現在の収入の範囲内で家族が生きていく」という現実を受け入れ、ライフプランそのものを根本から見直すことです。
例えば、子供の習い事を減らす、希望する進学先を諦めさせる、マイホームの購入を断念する、あるいは、現在住んでいる家を売却して、より家賃の安い地域へ引っ越すなど、痛みを伴う決断が必要になるでしょう。
この「何を守り、何を諦めるか」という、厳しい現実を夫婦で直視することが、結果として、相手の意識を変える最後のきっかけになる可能性もあります。
夫婦は「共同経営者」!危機を乗り越え共に未来を築くために

夫婦とは、単なる同居人や愛情で結ばれただけの関係ではありません。一つの「家庭」という名の会社をともに運営していく、「共同経営責任者」です。
夫も妻も、その会社の等しい責任と権利を持つ対等なパートナーなのです。
家庭が直面している経済的な問題は、この会社が迎えた設立以来の「経営危機」といえるでしょう。
危機に瀕した会社において、片方の経営者が身を粉にして資金繰りに奔走している横で、もう片方の経営者が、「自分は会社の運営には関与しません」と、協力を拒否することが果たして許されるでしょうか。決して、そんなことはないはずです。
パートナーが働くか、働かないか、という議論は、どちらが正しく、どちらが間違っているかの対立ではありません。これは、会社の危機を乗り越えるために、二人の共同経営者が、それぞれの持つリソース(時間、労力、稼得能力)をどのように配分し、ともにこの難局に立ち向かっていくかの重要な経営戦略会議なのです。
「どちらか」の責任ではなく、「二人」の責任として。この危機を、夫婦の絆を再確認し、ともに未来を築いていくための新たな出発点とすること。その視点の転換こそが、もっとも求められているでしょう。